ヘーゲルの量質転化の法則から考えるブログ運営:単に量を増やすのはNG

量質転化の法則」という言葉をご存じでしょうか?

これはドイツの哲学者であるヘーゲルが説いた弁証法の基本三原則の1つで、量から質への転化、またはその逆への転化の法則を指したものです。

「要は量をこなせば質も上がってくるって話でしょ?」

あながち間違ってはいませんが、実はそこまで単純な話ではありません

今回はこの「量質転化の法則」をブログ運営に応用することで得られる知見について解説していきます。

目次

量質転化の法則とは

量から質への転化、または質から量への転化のこと

量質転化の法則」をかみ砕いて説明すると、

それぞれ独立した存在に見える「量」と「質」が相互に関連し合っている法則

と言うことができます。

例えば、水の温度はまずその液体的流動性にたいして無関係であるが、しかしこの液状の水の温度の増減が或る点に達すると、この凝集状態は質的に変化し、水は一方では水蒸気に、他方では氷に変わる。一般に量的変化が起こる場合、それは最初それ以上の意味は少しも持たないようにみえる。しかしその背後には別なものがひそんでいるのであって、一見何でもなくみえる量の変化は、質的なものを捕らえる言わば狡智である

出典:ヘーゲル「小論理学」

「水の温度」という数値的な量の変化は独立した存在に見えますが、ある一定の量(100℃)に達すると「水から水蒸気へ」という質的な変化をもたらします。

同様に、「水から水蒸気」に質が変異することで、量にも変化をもたらします。例えば、水が水蒸気になると体積は約1,700倍に膨らみます。

必ずしも「水」の例のように単純な話ばかりではありませんが、量が変われば質が変化し、質が変われば量が変わるという事象を指して「量質転化の法則」と呼ぶわけです。

量質転化がもたらされる点を「限度」という

水の温度が90℃に変化したとしても、水蒸気にはなりません。

水の場合、あくまで温度が100℃に達したときにはじめて水蒸気化するという質的変化が訪れるのであり、このようなポイントを「限度」といいます。

他の例も挙げてみます。

うちの学校は、10人までは同好会としての活動しか認められませんが、人数が11人に増えれば部活動として認められます。

この場合、1⇒10、11⇒100の量的増加は質の変化をもたらしませんが、10⇒11の増加に限っては同好会から部活動への昇格という質の変化をもたらします。(部活動に昇格すれば、活動費が増えるなどの量的変化もまたあるでしょう)

「質」は「量」によって規定される

「量と質の相互関連性」、および「限度」の考え方を理解すると、「質」が「量」によって規定されるという法則性も分かってきます。

・絵具で純粋な「紫」を作りたければ、青と赤を1:1の量で混ぜ合わせる必要があります。少しでもずれれば、青寄り、赤寄りの紫になります。
・ポン酢を作りたければ、醤油と酢を1:1で混ぜる必要があります。醤油があまりにも少なければほぼ酢のままです。

このように、求める質(紫、ポン酢)は量によって規定されます。加えて、その量は必ずしも単一ではなく複数の量の配分によって規定されることもあります。

量質転化の法則をブログ運営に応用する

「量」をこなして「質」が上がるのは当たり前

ブログ運営における「質」は、「ブログ価値の最大化」、「ブログ運営スキルの向上」、「記事の質の向上」などが考えられるでしょう。

これに対し、ブログ運営に割く時間(量)をかければかけるほど質の向上がもたらされるというのは、ある意味当たり前の話です。

もちろん、自然現象と違って個人の能力により結果に差は生まれるでしょうが、質の変化が訪れることに異論はないように思われます。

しかし、この点を捉えて「量質転化の法則があるからひたすら作業しよう!」というのはやや誤解があるというか、本質を欠いているように思います。

「限度」を捉えないと質的転化がもたらされない

「水蒸気」という質を得たいなら、水の温度という数値的な量を100℃まで引き上げる必要がありますが、それ以上温度を上げても質的変化は訪れません。

現実は水のように単純ではありませんが、質が転化するポイント(=「限度」)というのは存在します。これを捉えないと量ばかり増えることになります

例えば、ある記事を書くのに5時間で書き上げるのと、24時間かけて書き上げるので質的変化はどれほどでしょうか。量の変化に見合った質的変化はもたらされていますでしょうか。

ただ量をこなせば質が上がるわけではないし、変化量も乏しくなります。

重要なのは、「限度」(質が転化するポイント)を見極めることです。

求める「質」から適切な「量」を考える

・「水蒸気」という質を得たいなら、水の温度を100℃まで引き上げる必要があります。
・「ポン酢」という質を得たいなら、醤油と酢の量を1:1で混ぜ合わせる必要があります。

「限度」(質が転化するポイント)を見極めるために重要なのは、「求める質を明確化すること」、そして「求める質に対する適切な量を把握すること」です。

ブログ運営について考えてみるに、求めるべき「質」を「ブログ価値の最大化」と仮定した場合に、その質を規定する「量」は何が考えられるでしょうか。

  • 記事の数
  • SEOの知識、スキル
  • ライティングの知識、スキル
  • ファン(ユーザー)の数
  • ・・・・

少し考えれば、醤油:酢=1:1のような単純な話ではないことはすぐに分かります。

同じように、今度は求める質を「記事(コンテンツ)の質」と仮定してみます。

  • ひたすら100記事書いた人
  • 50記事書きつつ毎日2時間はライティングの勉強に充てた人

両者はかかった時間(量)は同じかもしれませんが、質的な変化では優劣が生じているでしょう。

「質を最大化」するために「量を適切に配分」する

重要なのは、求める質を顕現させるために、時間という限られたリソース(量)をどう分配するか考え続けることです。

これは個人のスキルやその人の状況、求める質の内容によっても変わってくるでしょう。

・とりあえず100記事書いてみる
・ブログを毎日更新する
・毎日1時間は読書する

量質転化の法則を雑に捉えると、これらもいずれは質の転化をもたらすのでOKと思えてしまいます。

しかし実際には「限度」(質の転化がもたらされる点)があり、「求める質に対する適切な量の配分」がありますので、必ずしもこの方法によって質が最大化されるとは限りません

時間という限られたリソースを適切に配分しないと、求める質は最大化されないのです。

社会人と学生では持てる時間も違いますし、Web業界の人間とそうでない人ではスキルも異なります。

「100記事書く」「毎日更新する」というのは量の配分の問題であって、それ自体が否定されるものではありませんが、自分の求める質(望む姿)に最適化されたものかどうかは常に考えていく必要があります。

まとめ:量質転化の法則をブログに応用して質を最大化しよう

本記事では、ヘーゲルの量質転化の法則をブログ運営に当てはめて考えてみました。

量と質どちらを重視すべきか?」というのはブログ界隈でよくある二元論ですが、ここで出てくる「質」は記事(コンテンツ)の質のことなので、結局は「記事を量産することに時間を割くべきか、記事の作り込みに時間を割くべきか」という量的配分の問題だと思っています。

本来、最終的に求める質は「ブログ価値の最大化」なわけで、これにかなった方法を取ればいいということですが、実際にはこの最適配分の結論が出ないため度々議論になるわけです。

これに対する答えは記事中でも述べたとおり、個人のスキルや置かれている環境によって異なるため、常に思考を停止せず求める質に対してどう行動すべきかを考えていきましょう。

そよご

「●●したらOK」みたいな単純な話ではないということですね!

今回は以上です。

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この記事を書いた人

【経歴】仕事:金融マン ▶︎ そよログ運営・4ヵ月目 【実績】0円から3か月目で最高月収11,369円 ▶︎ SEO検定1級保有 ▶︎ 毎日更新100日達成

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